Ccfolia Log

コノハ博士

─────一羽の、黒と白のコントラストが綺麗なフクロウが、航一の頭に乗っていた。

コノハ博士

ﾎｰﾎｰ

コノハ博士

時折首を傾げる仕草をしながら、遠く広がる地平線の海を
真ん丸な目で見つめていた。

コノハ博士

「コーイチ」
そのフクロウは、徐に喋り始めた。

コノハ博士

「むぅ、要件を察するとは」

コノハ博士

「"できる"です」

コノハ博士

フクロウはバサッ、と羽を広げると。

コノハ博士

《ヒューマンズネイバー》

コノハ博士

─────小さな女の子となり、着地。

コノハ博士

そのままてくてくと、船室へ向かい
しばらくして、お菓子（多分ルウのもの）を大量に持って戻ってくる。

コノハ博士

既にぼりぼりと食べているのか、口回りにお菓子を付着させながら。

コノハ博士

「そういえば我々は、もぐもぐも、一体、もぐもぐもぐもぐ
　どこへ、もぐもぐもぐもぐもぐ」

コノハ博士

パチパチと瞬きをさせながら、淡々とした表情で小首を傾げながら。
航一のハンカチを受け取り。ありがとうですよ、と告げ、口回りを拭き始める。

コノハ博士

「これでよしです」
博士は綺麗になった！

コノハ博士

「こっほん、改めてですが、見慣れない者もいるですね？
　赤髪支部が協力を要請した助っ人ですかね？」

コノハ博士

山田、そしてドラえもんがいる船室前を一瞥しながら
航一の方へ再び視線を動かし、見上げ。

コノハ博士

「ああ、私はいつもと同じように、美味しい食べ物を探すために
　この船に乗ったわけですが、今回はどこへ向かっているのでしょうと
　やはり疑問に思うことはあってですね」

コノハ博士

「！　おぉ、これはこれはご丁寧に、よろしくなのです」
ぺこりと、ドラえもんに会釈。

コノハ博士

資料で見た、この青い機械は、オーヴァードではない
しかし、非オーヴァードでありながらも、強力な力を持つと。

コノハ博士

やはりこの世界にはまだ多くの未知があるです。
とても興味深いものばかりですよ。

コノハ博士

と、"知識の象徴"たるアフリカオオコノハズクのRBである博士は
淡々とした口調ながらも、どこか興奮気味な様子で。

コノハ博士

彼女にとっては、新たな知識を得られることは、食欲を満たすことと同義であるようだ。

コノハ博士

「コーイチの耳は何か詰まってるです？
　タヌキじゃなく猫と……」

コノハ博士

……ほほう、見かけによらず、中々に思慮深いと見えるですね、このロボットは。
しかし、赤髪は何故、このような高性能ロボを連れていったのでしょう。

コノハ博士

大きな"任務"を匂わせる"何か"を感じていると─────。

コノハ博士

ちらりと、赤髪を見やる。

コノハ博士

「さっき向こうに行ったですが、なんだか疲れ切っていた顔でした」

コノハ博士

お願いするです。とドラえもんにぺこりとしながら。
再び赤髪の方を見て。

コノハ博士

「赤髪、我々は今、どこへ向かってるです？」
きょとん、とした顔で首を傾げる。

コノハ博士

山田に持ってきたお菓子の一つを渡す。
おいしい食べ物を食べればきっと元気になるでしょう。という考えなようだ。

コノハ博士

「……なるほど、やはり任務でしたか
　食べ物巡りではないのが残念ですが、お聞きするです」

コノハ博士

我々は、"日常"の護り手ですから。

コノハ博士

視察？と鸚鵡返しをし、小首を傾げる。

コノハ博士

「ほほう……"スパリゾート"、ですか」

コノハ博士

それは博士にも聞き馴染みのある単語であった。

コノハ博士

スパリゾートとは、端的に言えば、オーヴァードに"日常"を思い出させるための
大変都合が良く、効率的な施設のことである。
博士の支部にもそれは存在しており、任務から戻ってくる部下を労わるのに大いに活用している。

コノハ博士

「実に賢いですね」

コノハ博士

「……なるほど、つまりは……メンテナンスも兼ねているわけですね」

コノハ博士

「"その方"も含めた」

コノハ博士

ぽりぽりぽりとお菓子を食べながら。

コノハ博士

「わーい」
食べ歩きの許可に嬉しそうな顔をする。

コノハ博士

こくりと頷き。

コノハ博士

「いい風です、あれがフーシャ村ですか」

コノハ博士

広がるは、緑豊かな、長閑な光景。
人工物の数よりも、草々の方が多く見られるような、そんな場所。

コノハ博士

動物のRBである博士も、どこか昔懐かしさのような
ノスタルジックな感情に浸りながらも。

コノハ博士

「いいですね、私も色々回ってみたいと思うです」
無表情ながらも、わくわくとしている様子。

コノハ博士

「……ふふ、そうですね、こういった"日常"があるということを
　学ぶのも、それはきっと良いことです」

コノハ博士

表情を緩ませながら。
我々が、日常の護り手であることを暗に示し
そして、守るべき日常がどういったものであるのかを、改めて知るためにも。

コノハ博士

赤髪の計らいに甘えて、私も……

コノハ博士

少しばかり、"羽休め"するです。

コノハ博士

コノハ博士

コノハ博士

コノハ博士

middle『いざ、"スパリゾート"へ』　登場：任意

コノハ博士

39+1d10　登場/リザレクト (39+1D10) ＞ 39+10[10] ＞ 49

コノハ博士

コノハ博士

涼しく風、暖かな日差し。牛の鳴き声と、牧草を頬張る音。
そんな、優しい地に足を踏む、任務を渡された4人は
そのまま、スパリゾートへと足を運んでいる最中であった。

コノハ博士

その道中、端末を両手で持ち、ぽちぽちと。
ゆくゆくは、フーシャ村支部の長と挨拶をすることになる予定ですから
まずは、知っておく必要があるですよ。

コノハ博士

能動調査
・「フーシャ村支部長について」　情報:UGN

コノハ博士

(2+0+2)dx+1+2>=8　〈情報：UGN〉コネつきです (4DX10+3>=8) ＞ 7[2,4,5,7]+3 ＞ 10 ＞ 成功

コノハ博士

「なるほど……この村の支部は一機で支えていると言ってましたが
　確かに、AIとなれば、"一体だけであること"のデメリットは
　さほど危惧されるようなものではないかもですね」

コノハ博士

コーイチ、ドラえもん、山田にそう告げる。

コノハ博士

「我々は、ひとりでは何もできないどころか
　繋がりを失うことで、理性を失う危険性があるですからね」

コノハ博士

ドラえもんの言葉に、賛同するように頷く。

コノハ博士

「賢いやり方ではありますが……
　……やはり、ドラえもんは思うことがありそうな顔、ですね？」

コノハ博士

淡々とした無表情ながらも、少し心配に思うような様子で
同じ、"機械"であるドラえもんをちらりと見て。

コノハ博士

「……ふぅむ、なるほど……達観してるですね」
"歴戦"を感じさせるその言葉に関心をしながらも。

コノハ博士

今度は、ちらりとコーイチの方を見て。

コノハ博士

「コーイチ、今度はスパリゾートを調べるです
　具体的にはどんな美味しい食べ物があるかを早く
　ハリーです、ハリー、ハリー」

コノハ博士

先程の話題は、あまりにも繊細な話だ。
逸らした方がいいだろう。

コノハ博士

あと純粋に、博士はまだお腹が空いていた。食べ盛り。

コノハ博士

「コーイチ」

コノハ博士

「食べ物情報は？」

コノハ博士

「まだまだ足りないですよ」

コノハ博士

ちらりと、山田を見て。

コノハ博士

「山田、これは任務です、お仕事しろなのです」

コノハ博士

着飾ったドレスをぐいぐい引っ張る。

コノハ博士

「仕事です」

コノハ博士

キッパリと告げる。
食べ物情報は、此度の任務と同レベルくらいに、重いッ。

コノハ博士

←食べ物情報が無いことに憤りを抱いている顔。

コノハ博士

「ありがとうです」

コノハ博士

←食べ物情報が無いことに憤りを抱いている顔。

コノハ博士

「……しかしなるほど、ホワイトハンドですか」

コノハ博士

「……ジャームが未収容であれば、特に地上への問題は無さそうです」

コノハ博士

得られた情報により払拭された懸念は、地下施設から発生させられる
レネゲイドによる、地上の汚染。現状は無い、と見えるかもしれない。

コノハ博士

こくりと頷く。

コノハ博士

「そうですね、主にオーヴァード用ですが
　ただ、このフーシャ村にはもう、ほとんどオーヴァードは
　いなさそうなようなので、だから誰もいないのでしょう」

コノハ博士

ふむ……と顎に手をやる。

コノハ博士

「…………それは、その通りですね
　こうしてのどかな"日常"は広がってはいますが
　"いざ"、という時は……いつ来るか分からないものですからね」

コノハ博士

これに関しては、後で赤髪に報告しておきましょう。と告げる。

コノハ博士

こくりと頷く。

コノハ博士

「そうですね、百聞は一見に如かずです
　まずは我々の目で見て、色々と確かめようです」

コノハ博士

そうして4人は、そのままスパリゾートへと足を運ばせる。
……道中、アイスクリーム屋でアイスを買いながら。

コノハ博士

コノハ博士

─────スパリゾート。

コノハ博士

我々は、"一般観光客"として、ここに立つ。

コノハ博士

絶句。

コノハ博士

あれ？この人、大丈夫です？？？？
赤髪、良かれと思って選んだのですよね？？？

コノハ博士

「すみませんなのです」
ぺこりと頭を下げる。

コノハ博士

絶句。

コノハ博士

「………！そ、そうです、ここに素晴らしい温泉があると聞いたです
　すぐにでも入ってみたいです」
ドラえもんの言葉に賛同するように、こくこくと頷く。

コノハ博士

山田の背中に飛びついて、その口を小さな手で閉じさせる。

コノハ博士

「し、失礼するですよー」
キュマイラパワーでなんとか抑えながら、女湯の方へ移動しようとする。

コノハ博士

そして、ドラえもんの方を一瞥する。
何か、レネゲイドとは違った、"別の力"を行使した気配を感じた。
……やはり、この者は中々、侮れないですね。と、心の中でそう思った。

コノハ博士

何はともあれ、この場を何とか凌がせたことに感謝を伝えるために
瞑らな瞳を、じぃーっと向け、無言で頷いたまま
暴れる山田を操作し、女湯の中へと。

コノハ博士

─────そして、コーイチの肩に、一羽の梟が止まる。

コノハ博士

じぃ、と、ポメを真ん丸の瞳が見つめ続ける。
─────外で起こった《ワーディング》反応の主。
殺人の罪を犯した主を、じっと。

コノハ博士

シャンチの亡骸は赤髪海賊団へ、既に検死として手渡した。
このフーシャ村で何が起こっているのかを調べてもらうために。

コノハ博士

「─────今すぐ敵対するという意志はないですよ
　お話の続き、お聞かせくださいです」

コノハ博士

あの山の……ふむ。

コノハ博士

梟の丸い瞳は、徐々に細く。

コノハ博士

《ヒューマンズネイバー》

コノハ博士

コーイチの隣に立ち、口を開く。

コノハ博士

「侵蝕率100%を超えながらも、衝動に従わない個体
　………この世の中には、例外というのはどうしても
　存在してしまうのです」

コノハ博士

「我々は、コードウェル博士が定めた定義に則り
　オーヴァードとジャームの区別をしてきました
　……しかし」

コノハ博士

じぃ、っと黄色の瞳をポメへ向け。

コノハ博士

「ジャームではないにも関わらず、ジャームであると診断されてしまう
　そういった例が、この現実では起こってしまっているのです」

コノハ博士

そもそもジャームとは？侵蝕率100%以上で安定してしまう個体を示すが。
しかし、どのくらいの時間、その状態が保持されていればジャームとなる？
自分達も、任務によっては侵蝕率100%を超えることだってある。

コノハ博士

しかしそれは、"日常"という存在により、徐々に下がっていく。
されど、確かに侵蝕率が100%を超える瞬間は、誰にでもある。

コノハ博士

ならば、目の前にいる者は？
本当は、長い期間をかけてゆっくりと侵蝕率が下がっていっているだけなのでは？
それを否定できる根拠は、今のUGNの技術では作ることができない。

コノハ博士

「……事情は分かったのです」

コノハ博士

「まず結論から申し上げるですよ」

コノハ博士

「─────この地下施設に留まり続けるのであれば
　UGNの管理下にあるというのであれば
　我々は、この件に関して強く咎めることはないです」

コノハ博士

淡々と、こちらの見解を述べていく。
ジャームであろうとなかろうと、人は人。
自分達はただ、レネゲイドというウイルスに汚染された病人でしかない。
それに対し、全てを討伐しなければならないといった考えは、博士は容認できない。
故に、ナビの取った措置についても、博士個人としては何も言うことが無い。むしろ、褒めて然るべきものであろうと考えている。

コノハ博士

人とオーヴァードの共存を目指すならば
例外をいかに無くすかの努力・研究を続ける。
それは、進化を続ける生命体として正しい姿なのではないか？

コノハ博士

「しかしナビ」

コノハ博士

ゆっくりと指を、ポメへ向ける。

コノハ博士

「その者は《ディメンションゲート》を用いて外へ出ていたのを確認したです
　その件に関しても、深く事情をお聞かせくださいです」

コノハ博士

「─────主に"シャンチ"との関連、ですね」

コノハ博士

じぃ、とポメを見つめ続ける、小さな少女。
今もなお、敵意は発さない。発する理由が無いから。

コノハ博士

ドラえもんとコーイチの言葉に頷く。

コノハ博士

ポメの次に紡ぐ言葉を待つように、淡々とした瞳で、じぃっと。

コノハ博士

ふむ、と顎に手をやり考える。

コノハ博士

「……この件は、難しい部分があるです
　そしてその通り、周りに被害を出さなければ良いです
　レネゲイド汚染を心配するなら、我々も本来なら外で出てはならない
　病人、ですからね」

コノハ博士

「私が聞きたいのはそこではないですよ、ナビ」

コノハ博士

「"シャンチ"との交戦、この件について詳しく聞かせていただきたいです
　UGNが公にできないような交戦が起これば、その分……」

コノハ博士

ポメを見やり。

コノハ博士

「その存在が、我々のみならず
　もっと多くのUGNの目につくことになるですよ？」

コノハ博士

「……あなたの想いは分かりました、ただ、一つだけ言わせてもらうです」

コノハ博士

「─────何をふざけたことをしているんです？」

コノハ博士

「ナビの想いを無碍にするつもりですか？」

コノハ博士

「もし我々ではないUGNがここへ来て
　そしてあなたが見つかればどうなっていたです？」

コノハ博士

眉間に少し皺が寄った。

コノハ博士

そして一歩、ポメへ近づく。

コノハ博士

「過信」

コノハ博士

「恩返しがしたいというのであれば」

コノハ博士

「─────今後も、安らかに"日常"を過ごしてください」

コノハ博士

表情を緩ませ、そしてにこりと笑う。

コノハ博士

「それが、あなたにできる、最大のナビへの恩返しです」

コノハ博士

その言葉に、慈悲の目と、そして優しく頷く。

コノハ博士

「視察は終わりですね」

コノハ博士

踵を返す。

コノハ博士

「─────ここには"ジャーム"はいなかったんじゃないですか？」

コノハ博士

《ヒューマンズネイバー》

コノハ博士

一羽の梟は、飛び去って行った。